”老人の取扱説明書”をレビュー ~老いゆく親の理解のために~

"老人の取扱説明書"をレビュー

皆さんは、ご自身の親と良好な関係を築けていますか?

社会人として独立して、結婚してからしばらくは自分自身のことでいっぱいいっぱいでしたが、そろそろ年を重ねた親のことが気になってきました。

私は親と色々あって、これまでドライな関係でしたが、これから親のことを見ていかなければならないと思う中で、まず初めに大切なのは遠距離でも適度に連絡を持ち関係性を気付くことなのかと考えています。

親子関係は家庭によってそれぞれですよね。物心ついてから親と何でも話せて信頼しあえるような家庭もあれば、そりが合わず、音信不通に近い関係の親子もいるかもしれません。

また、子供が独立し、自身も定年を迎えて孫ができてから丸くなる親もいれば、親が年を取ってから気難しくなって関わりにくくなったと感じる方もいるかもしれません。

親との関係性の肝となるのは以下の3点なのかと個人的には考えています。

  • 元々の性格の不一致
  • 世代間の価値観の違い
  • それぞれが迎えているライフステージ

今回着目するのは3番目です。私達が社会的にも経済的にも独立する一方で、親は年老いていきます。それに伴ってこれまで認められなかった我々にとって困った言動が見受けられるようになってきます。

その正体は何か、そして対処法は何か。これを医学的にやさしく解説しているのが平松 類氏が書いた”老人の取扱説明書”になります。

これからの親との良好な関係を気付くうえでのヒントがこの本には詰まっています。今回はその内容についてご紹介します。

それでは、よろしくお願いします。

目次

”老人の取扱説明書”ってどんな本?

老人の取扱説明書ってどんな本?

老人の取扱説明書は医師で医学博士の平松 類氏が親のよくある困った行動が”老化”という体の変化によるものと位置付け、周囲や本人がすべき解決策について教えてくれる本になります。

平松 類氏は自身がこれまで医師として10万人以上の高齢者の方と接してきた経験と、数多くの参考文献を基にこの本を執筆しています。実際に、この本の最後の参考文献を見ていただくとその量に驚くことになると思います。

 

この本は既に10万部を突破しており、既にご存じの方は多いのではないでしょうか。

なお、平松さんは認知症に焦点を当てた”認知症の取扱説明書”を書かれていますので、こちらも興味がありましたら読んでみて下さい。

”老人の取扱説明書”が言いたいこと

この本が言いたいことは老いた親や高齢者の行動には老化という身体的な衰えという明確な理由があり、その理由をしっかりと理解し、適切な対処をすれば、私達家族や周りの人々ははイライラせず、穏やかな気持ちで接することができ、高齢者本人も卑屈になることなく、より自分らしく生きることができるということです。

そして、高齢化が進む日本において、皆がこれらの知見をもって世代を超えて接していくことで、より優しい社会が気づけるのではと結論付けています。

”老人の取扱説明書”で何が学べるか

老化の正体について、老いた親のよくある困った行動について数々の例を挙げて、なぜそのような行動をとるのかを、具体的にどの身体的機能の衰えが原因になるのかを紐解き、それぞれのケースでの”周囲の人がしがちな間違い”や、”周囲の人がやるべき正しい行動”、”自分が同じようなことにならないための対処法”、そして”自分がこうなったら”についてそれぞれ説明しています。

それにより、各ケースでの老いた親の行動について理解することができ、また、決して他人事ではなく、自分でも起こりうることだという自覚が生まれ、具体的な対処法がわかるため、高齢者のことが理解でき、より深くかかわることができるようになります。

”老人の取扱説明書”はどんな人におすすめか?

以上のことから、老人の取扱説明書は以下の方におすすめです。

  • 高齢の家族を持つ方
  • 将来高齢になることに不安を持つ方、または既に高齢の方
  • 高齢者と直接・間接的にでも関わる職業の方

私のような30代の方にとっては、まだ自分の親はそこまでじゃないよと思われる方もいるかもしれませんが、これからそうなるかもしれないという予測が立つと立たないとではこれからの親との関り方は大きく変わってくるかと思います。

本書の目次

本書の目次

それでは老人の取り扱い説明者にどんなことが書かれているのか一部ですが紹介しますね。

出版社のサイトの電子版を試読すれば、すべての目次が確認できますので、もし興味があれば参照ください。

第1章 老人の困った行動
・ 都合の悪いことは聞こえないふりをする。
・ 突然、「うるさい!」と怒鳴る。でも、本人たちは大声で話す。
・ 同じ話を何度もする。過去を美化して話すことも多い。

第2章 いじわる
・「私なんて、いても邪魔でしょ?」ねど、ネガティブな発言ばかりする。
・ 無口で不愛想。こちらが真剣に話を聞こうとすると、かえって口を閉ざす。
・「あれ」「これ」「それ」が異様に多くて、説明がわかりにくい。

第3章 周りが大迷惑
・ 信号が赤に変わったのに、ゆっくり渡っている。
・ 指摘はできないが、口がそこそこ臭い。
・ 約束したのに、「そんなこと言ったっけ?」と言う。

第4章 見ていて怖い、心配・・・・・・・
・ お金がないという割に無駄遣いが激しい。
・ その時間はまだ夜じゃないの?というほど早起き。
・ そんなに出るの?と不思議に思うくらいトイレが以上に近い。

おわりに

”老人の取扱説明書”ではどんなことが書かれているか

老人の取扱説明書ではどんなことが書かれているのか?

前述の出版社のサイトの電子版を試読すれば、第一章の一番最初の”都合の悪いことは聞こえないふりをする。”までは読むことができます。

 

こちらを基にどんなことが書かれているのかを見ていきましょう。

初めによく見かけるようなシチュエーションが書かれている

今回紹介するの”都合が悪いことは聞こえないふりをする。”を例に見ていくと、登場人物のAさんが正月に旦那さんの実家に帰った際に義母に声をかけても聞こえない。

でも、Aさんよりも遠くにいる旦那さんの声にはすぐに返答して、どういうことなの!?ということでイライラしてしまう・・・といったシチュエーションが書かれています。

 

このように、ありそうでつい共感できそうなシチュエーションについ書かれている内容に興味が湧いてしまいます。

ではその原因は何か、科学的な知見をかみ砕いて教えてくれる

ここで、平松氏は現場で活躍している医師であり、医学博士として経験と文献から得られた情報を基に、老化による体の変化によることが上位の困ったシチュエーションの原因であることをかみ砕いて教えてくれます。

このかみ砕いてという所が非常に重要で、専門家は考察し、答えを導き出すのかゴールではなく、一般の方までわかるように説明できることが大切だということを平松氏はわかっています。

科学的根拠は示しつつ、でもわかりやすい。私も見習いたいなと思わせる文章でつい読んでしまいたくなりました。

”都合が悪いことは聞こえないふりをする。”を例にすると、70代で50%、80代で80%以上の人が難聴で、特に高い音、つまり女性の声が聞き取りにくくなることが、根拠を基に説明してくれています。

対処法や自身がそうならないようにする予防策が書かれている

原因がわかったけれど、ではどうしたらいいの?と読者は気になります。

そこで平松氏は対処法や予防策についてもわかりやすく書いてくれています。

例えば前述のシチュエーションでは平松氏が患者さんに話すときには、正面を向いてゆっくりと話すようにしているとよく理解してくれると医師である自身の経験を基に書いています。

また、予防策として、大きな音を聞く環境を減らせるよう耳栓を用意するといったことや、ラジオなどの音を小さくして聞くトレーニングを提唱したりして、すぐに始められそうな内容を教えてくれます。

最後のまとめがわかりやすい

最後に”周りの人がしがちな間違い”、”周りの人がすべき正しい行動”、”自分がこうならないために”、”自分がこうなったら”と項目を分けて箇条書きでこれまでの内容をおさらいしてくれます。

これまでの内容を忘れそうになったら、このまとめだけを読めばすぐに思い出し、実践を続けられるような作りで丁寧です。

”老人の取扱説明書”を読んだ後は・・・

老人の取扱説明書を読んだ後は・・・

自分の周りの高齢の方や、特に親などで似たような行動がないかを思い出してみるといいかと思います。

当てはまるようなことがあれば、書かれていたことを参考に改善していけば、その方との関係が良好になるかもしれません。

そして何より、高齢の方の見方が変わり、世代の違う人とのかかわり方が変わるのではないかと思います。

まとめ

まとめ

”老人の取扱説明書”は高齢者がなぜこのような行動をするのかを”老化”を理解することで、その考え方を変えることができる良著だと思います。

自分と異なる世代を理解し、自身の親と距離を縮められるきっかけとして本書はお勧めできます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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